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ワールドカップ特集

ラグビーワールドカップ2015イングランド大会 観戦記

県協会杉山さんのRWC2015 in England ホスピタリティー観戦記
県協会杉山さんのRWC2015 in England ホスピタリティー観戦記
 熊本県ラグビー協会の医務委員会と普及育成委員会に所属されている杉山眞一氏がラグビーワールドカップ2015イングランド大会にご家族揃って観戦に行かれました。杉山氏は本業の医師としての傍ら社会人や高校の試合でマッチドクターとして試合の運営にご協力いただいています。またご自身もラグビーをされていた経験を活かして、子供さんが所属する熊本ラグビースクールのコーチもされており、県内ラグビーの普及育成活動に尽力されています。
 今回のワールドカップ観戦は奥様とお子様4人の6名!で行かれ、日本代表の南アフリカ戦、スコットランド戦とワールドカップ一色のイングランドを満喫されてこられました。体験記のタイトルは「Rugby World Cup 2015 in England ホスピタリティー観戦記」~Road to RWC 2019 in Kumamoto~。4年後の熊本開催の目から見たホスピタリティー観戦記と銘打って、試合会場、観客移送手段ほか雑感を述べられた力作となっております。2019年熊本大会における交通・宿泊・メディカルの面でも大いに参考になる体験記となっておりますので写真もあわせてどうぞお楽しみください!
 
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Rugby World Cup 2015 in England ホスピタリティー観戦記
~Road to RWC 2019 in Kumamoto~
 
熊本県ラグビーフットボール協会 医務委員会、普及育成委員会
杉山 眞一
 
 Rugby World Cup England大会の真っ只中、Rugby World Cup熊本開催まであと4年。先日My Familyで渡英し、世界を驚愕させたあの日本vs南アフリカ戦、そして悔しい敗戦となった日本vsスコットランド戦を観戦してきました。試合内容などは別稿にお譲りすることとし、今回は熊本開催の目から見たホスピタリティー観戦記と銘打って、試合会場、観客移送手段ほか雑感を述べたいと思います。
 
試合会場
1.ブライトンコミュニティースタジアム
 南ア戦の行われた、ブライトンコミュニティースタジアムは約3万人集客できるスタジアムで、熊本開催の際に使用される「うまかな・よかなスタジアム」とほぼ同等の規模です。ブライトン-ロンドン間は約85kmの距離です。車で来るEU圏内の人たちもいますが、できるだけ公共交通機関でという事前のコマーシャルもあり、ほとんどの人はNational Rail Wayでやってきます。ブライトンに宿泊している人もいますが、それでも試合会場のファルマ-まで列車で2駅分の距離があります。約1時間かけて、試合開始3時間前にスタジアムに到着です。 
 すでに観客は集まり、場外の販売施設でビールを飲みまくっています。簡易トイレも10台ほどスタジアム外に設置。南アの初戦だからでしょうか?Webb Ellisカップも展示、誰でも記念撮影でき、長蛇の列ができていました(ボランティアのスタッフがシャッターを押してくれました)。無料でフェイスペインティングしてくれる人がいて、これまた長蛇の列でした。試合開始2時間前に入場。チケットに印刷してあるバーコードを機械に読み取らせて、入場の段取りだったようですが、機械の調子が悪くうまく作動せず。しかし外国人特有の大らかさ(?)で、「いいよ、いいよ」って感じで通してくれました。
 実際の試合は、既にご存知のように、素晴らしい内容でした。それ以上に感激したのは、試合後南アフリカのサポーターからも「Congratulation!」「Well done(よくやった)!」「Fantastic game!」などの称賛の嵐を頂いたことでした。ランキング上位国に勝った以上にゲームの内容の素晴らしさを褒め称えてくれ、彼らに本当のラグビー文化が根付いていることを再確認した瞬間でした。
 行きの時間帯は人によって様々なので、そこまでの混雑ではありませんが、帰りは乗客が殺到していました。ファルマ-⇒ブライトン行きで30分ほどの待ち時間、ブライトン⇒ロンドン行きで30分ほどの待ち時間、帰りつくまで2時間超の時間が掛かりました。
 
2.キングホルムスタジアム
 スコットランド戦の行われた、グロスター-キングホルムスタジアムは約1万6千人集客できるスタジアムで、ロンドンから約145kmの距離で、列車で2時間ほどです。途中スウィンドンという町で列車の乗り換え予定も、乗り換え列車が2両しかなく乗客を乗せきれないため、その鉄道会社が用意したと思われる    シャトルバスが急遽4台発車し、計約3時間掛けてスタジアムに到着。
 小さい町だけに歓待ムードは満点。スコットランドのバグパイプによる演奏、パブは何軒もあり、ビールをすでに飲みまくり。入場も前回同様、バック検査、チケットバーコードチェックを受けました。スタジアム内の売店ではいつものようにホットドックなどを販売していましたが、その雰囲気はスタジアムで微妙に変わり、これらはスタジアムの自由裁量ではないかと感じました。
 ゲームはご存知の通り、残念な結果でしたが、前半から後半の入りまでは、かなり押しており、ゲームプランニング次第では違った結果になりそうでした。選手たちもあまりショックを受けている印象はなく、次回のサモア戦は期待できると思われます。
 帰りの便も行きと同じグロスター⇒スウィンドン乗り換えでしたが、約1時間の待ち時間。やっと来た列車はこれまた2両編成のため、ほとんどの方は入りきれない状態でした。運良く我々Familyは乗車できましたが、ほかの多くの方は、恐らく別のシャトルバスでスウィンドンに向かったと思われます。スウィンドン⇒ロンドンの列車の規模は大きく、移送に問題はありませんでした。
 
雑感
1.交通手段
 ロンドンを始めとするイギリスは列車を中心とした交通網が発達しているため、熊本開催における観客輸送に関するホスピタリティーは前回大会のニュージーランド大会の方が参考になるかもしれません。既存の公共輸送手段において、特に英語標記などが充実していない熊本での開催であることを考えると、シャトルバスなどでしか対応出来ない可能性が高いと思われます。前回のニュージーランド大会の際は、主要な場所からのバスによるピストン輸送がほとんどでした。観客3万人をすべてシャトルバスで対応させるとバス1台50人の乗客×10往復でも60台のバス確保は必要で、かなりの混雑が予想されます。
 
2.宿泊 
 試合チケット、飛行機、ホテル付きの旅行パックは非常に高額なため、個人でチケット、飛行機、宿泊先、国内移動手段を確保していると思われます(実際自分もそのようにしました)。海外の方は事前にBooking.comやAgodaなどの海外旅行サイトから宿泊予約すると思われます。経済波及効果を考えると宿泊してもらわないとお金は落ちにくいのではないでしょうか。実際に、My familyもロンドン宿泊で、ブライトンにもグロスターにも試合会場に足を運んだだけで、その地にほとんどお金は落としていません。
 
3.メディカル 
 今回第2戦でアマナキ・レレイ・マフィ-選手が担架で退場になりました。高澤帯同チームドクターは大会メディカルコミッショナーのような方と話し合っていましたので、恐らく現地の病院でCTやMRIを撮影し、現時点の診断を仰いでいると思われます。重傷の場合、チームを離脱させる否かの判断を急がれますので、迅速な診断が求められるようです。前回のニュージーランド大会でも初戦でホラニ選手が膝を負傷し、その当時の村上帯同ドクターは近隣の病院に頼み込んでMRIを撮影してもらい、靱帯損傷の診断⇒チーム離脱に至りました。グラウンドレベルの怪我は帯同ドクターで対応可能と思われますが、後方支援病院への働き掛けなどは求められる可能性が高いと思われます。
 
 以上、4年後のRWC熊本開催を思いはせながら、雑感を述べさせて頂きました。今後のラグビー日本代表の活躍と、来るRWC熊本開催の大成功を祈念致します。
2015年9月30日
 
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