ラグビーワールドカップ2019日本大会が終了。
熊本開催の2試合も会場が熱気に包まれる。
ラグビーワールドカップ2019日本大会は、圧倒的な強さをみせた南アフリカの優勝により閉会しました。9月20日の開幕以来、途中台風の影響を受け中止となった試合もありましたが、日本代表の快進撃もあって当初の観客動員目標を大きく上回り、アジア初のワールドカップ開催は最後まで大きな盛り上がりを見せました。
熊本でも9月20日に花畑広場にオープンしたファンゾーンでは日本代表の試合を中心にパブリックビューイングが実施され、日本人のファンのみならず、熊本の試合を観戦に来日した多くの外国人のファンで連日賑わいました。特に日本戦は試合を重ねる度に来場者が増え、3戦目のサモア戦からは入場規制が行われました。ファンゾーンの会場では初めてラグビーを観戦される方もいましたが、ルールが分からなくても日本代表がボールをキープし、前進するたびに大きな歓声が上がり会場が一体となりました。ファンゾーンは熊本会場の2試合目、「ウェールズ対ウルグアイ戦」が行われた10月13日(日)に最後のパブリックビューイング「日本対スコットランド戦」で日本が勝利し、予選プールで4勝し決勝トーナメント進出を決定した歓喜の中、ノーサイドパーティーが行われ、会場ではステージ登壇者と来場者で日本代表のチームソング「ビクトリーロード」を熱唱し、惜しまれながら閉鎖となりました。ファンゾーンは閉鎖となりましたが、日本代表が初めて進出した決勝トーナメント1回戦「日本対南アフリカ戦」は県内の盛り上がりも大きいことから、熊本全体でチームに声援を送り、感動と興奮を共有するために、県内4箇所でパブリックビューイングが開催されました。試合は南アフリカがフィジカルを前面に押し出したゲーム展開で、惜しくも日本代表が3-26で敗れましたが、パブリックビューイングの会場では最後まで惜しみない拍手が送られました。また、日本代表として全ての試合に先発出場し決勝トーナメント進出の原動力となった、荒尾高校(現 岱志高校)出身の流 大(ながれ ゆたか)選手の活躍に熊本からの多くの声援が贈られました。
10月6日(日)に熊本県民総合運動公園陸上競技場でトンガ代表との熱戦を終えたフランス代表チームのほとんどの選手が、10月8日(火)にファンゾーンに登場し、サインや写真に納まるなど多くのファンと交流を深めました。
試合が開催された熊本県民総合運動公園陸上競技場も、これまで体験したことない熱気と歓声に包まれました。ラグビーワールドカップ熊本開催の来場者数は、10月6日の「フランス対トンガ戦」が28,477人、10月13日の「ウェールズ対ウルグアイ戦」が27,317人とほぼ満員に近い観客で埋まりました。
試合当日の輸送体制はファンゾーンや熊本駅からのシャトルバス、自家用車を利用される場合はパーク&バスライド、JRを利用される場合は光の森駅からのシャトルバスと公共交通機関を利用し、マイカーをスタジアム周辺に乗り入れが出来ないよう事前に周知が計られました。その成果もあり、当日スタジアム周辺が渋滞することはなく、乗車場所によりシャトルバスに乗り込む際に長い行列が出来ましたが、おおむねスムーズに会場にアクセスすることが出来ました。これに関しては、輸送計画を立てられた熊本国際スポーツ大会推進事務局の方々が開催日直前まで他会場を視察したり、各交通機関と綿密に連携を取られた結果であり、そのオペレーションは多くのボランティアの方々によって計画通りに遂行されました。あらためてスタッフの方々に感謝申し上げます。
会場ではバスから降車した途端に、各国の国旗やジャージを纏ったファンや、派手にフェイスペイントしたファンなどが闊歩していて一気にワールドカップの雰囲気を目の当たりにできました。いこいの広場では、おもてなしイベントとして試合を盛り上げるべく様々な催しが行われました。ステージイベントは勿論の事、巨大なキヤノンウォールギャラリーでは多くのファンが行列を作り、ワールドカップの世界観に浸って写真に納まっていました。すっかり応援のツールとしておなじみになった、ラグビーフェイスペントとラグビーネイルのブースには女性ファンを中心に多くが詰めかけました。ドリンク&フードブースでも試合前からハイネケンビールが飛ぶように売れてラグビー観戦にはビールが欠かせないことを行列が実証していました。また、日本大会デザインの高さ3.9mもある巨大なギルバートボールのモニュメントも設置され来場者が次々に記念撮影をしていました。
皆さんそれぞれおもてなしイベントで楽しまれた後はいよいよ2カ所の入場ゲートから入場。ゲート前には警察犬も待機し、国際大会を想わせるセキュリティーの厳重さで手荷物検査も行われました。それが終了するとチケットの2次元バーコードの読み取りが行われいよいよ会場内へ。会場内ではフォトフレームを持ったボランティアの方々がお出迎え、来場者は次々にスタジアムをバックにフレームに納まりながら、ボランティアがスマホのカメラで撮影してくれました。オフィシャルグッズの販売ブースや、ドリンクバーは既に長蛇の列で、試合前のお祭りのような雰囲気も満喫できました。
フィールド内はワールドカップの装飾が施されました。ピッチ上は常設のトラックも人工芝で覆われ、またタッチライン際とインゴールは国際規格に対応した広さの天然芝が敷き詰められ、素晴らしい試合の舞台が目の前に広がりました。この日のために会場の準備と、芝の管理を徹底して行っていただいた熊本県スポーツ振興事業団の皆様に感謝申し上げます。
試合の経過と結果は以下の通りです。
予選プールC フランス対トンガ
10月6日(日)16:45キックオフ 来場者数28,477人
観客席は多くのフランスファンで埋まり、試合開始前からフランスファンを中心に盛り上がりを見せる。熊本のファンはおそらくこれを楽しみに足を運ばれたと思われるトンガのシピタウに観客は目を奪われる。会場のカウントダウンのコールの中、フランスのキックオフでゲームがスタート。4分にPGでフランスが先制するとさらに6分、フランス⑬ヴィリミ・ヴァカタウの先制トライで10-0(コンバージョンゴール成功)。しばらくゲームは膠着するがフランスは32分、トンガ陣内のPKから⑨バティスト・スランが素早く仕掛け⑪アリヴェレティ・ラカへパス、ラカがディフェンスの裏へキックし自らボールをキャッチしてインゴールへ飛び込みトライ、ゴールも決まり17-0。対するトンガは40分、フランスのゴール前のラックから右へ持出し、⑨ソナタネ・タクルアがパスダミーを見せてインゴールに飛び込みトライ、ゴールも決まり7-17とし、前半はフランスリードで折り返す。
後半7分トンガは、フランスボールのラインアウトから出たボールをターンオーバー、バックスで右に大きく展開しハイパントを上げ、そのボールを⑬マリエトア・ヒンガノが上手くキャッチしてインゴールへ飛び込みトライ、ゴール成功で14-17と詰め寄る。フランスは12分と20分、⑩ロマン・ンタマックがPGを決めて、23-14と引き離しにかかる。その後はお互い追加点が奪えずゲームが進むが、39分にトンガはフランスゴール前のラックから出たボールをタッチライン左際へ短いパントを上げ、⑦ザネ・カペリがキャッチしてインゴール右隅へトライ、難しい位置のゴールも決まり21-23と2点差となるがトンガの猛追もここまで。フランスが2点差で逃げ切り、決勝トーナメント進出を熊本で決めた。
フランス トンガ
17- 7
6-14
23-21
予選プールD ウェールズ対ウルグアイ
10月13日(日)17:15キックオフ 来場者数27,317人
決勝トーナメント進出を決めているウェールズが主力メンバーを温存したのに対し、ウルグアイはベストメンバーで予選プールの最終戦に臨む。釜石で格上のフィジーを30-27で破ったウルグアイの戦いぶりに期待が高まる。試合前には台風19号で犠牲になられた方々へ黙とうが捧げられた。序盤はお互い攻め手を欠きノースコアのまま、均衡が破られたのは16分、ウェールズは14フェーズを重ねてウルグアイゴール前のラックから①ニッキー・スミスがインゴールにボールを押さえてトライ、コンバージョンゴールも決まり7-0と先制。対するウルグアイも22分と39分に⑩フェリペ・ベルチェシがPGを決めて前半は7-6とウェールズが僅か1点差リードで終了。
後半8分、ウェールズはウルグアイゴール前のラックからバックスに左へ展開、2人飛ばしたパスを⑭ジョシュ・アダムズがキャッチしてそのまま走り込んでトライ、ゴールも決まり14-6とする。その後はお互い均衡を破るべく交代選手を次々に投入。25分にはリードされ残り時間を気にするウルグアイに痛恨のイエローカードがでて⑦サンティアゴ・チヴェタが一時退場。一人少なったウルグアイに対し、ウェールズは26分にペナルティトライを奪い21-6と差を広げる。これ以上点差を広げられたくないウルグアイは30分、ウェールズゴール前のラックからフェーズ12を重ねて最後は②ヘルマン・ケスレルがインゴールに飛び込みトライ、ゴールも決まって13-21とする。しかし直後の33分にウェールズはFW、BKが一体となったアタックでウルグアイ陣内深く攻め入り、ラックから㉒トモス・ウィリアムズがラックサイド左をすり抜けてトライ、ゴール成功で28-13。ほぼ勝負も決まりかけた中、試合終了のドラが鳴ったあともウルグアイは積極果敢に自陣からボールを繋ぎ最後の見せ場を作る。ウェールズもそれに応えるように試合を切らず、ハーフウェイラインのPKからウェールズ㉓ガレス・デーヴィスがクイックスタートで、相手ディフェンス2人をかわしてインゴール中央へトライ、ゴールも決まり35-13でノーサイド。点差は広がったものの、最後までお互いのプライドがぶつかり合う好ゲームであった。
ウェールズ ウルグアイ
7-6
28-7
35-13
スタジアムやファンゾーンに多くの方々にご来場いただきありがとうございました。また、開催自治体の熊本県・熊本市の運営事務局の皆様、大会の安全にご尽力いただいた警察や警備会社の皆様、大会を陰で支えていただいたボランティアの皆様、様々な場面でワールドカップ関連の報道をしていただいた報道機関の皆様、熊本地震に全国からご支援いただいた皆様、全ての大会関係者に感謝申し上げます。
今後も様々な試合や普及活動を通して、ラグビーの魅力や面白さを広く周知して参りますので、皆様のご支援、ご協力を引き続きよろしくお願いいたします。