楽苦美コラム ウォーターブレイク

 

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第12回楽苦美コラム!サムライヒロさん「避けて通れないもの」
2012-09-01
「避けて通れないもの」
サムライヒロ
 
 「この世で避けて通れないものがある、それは、死と税金。 “Nothing is certain but death and taxes.”」とはベンジャミン・フランクリンの言葉です。ラグビーを人生に例えるなら「ラガーマンが避けられないものがある、それは、敗北と怪我。」といったところでしょうか。決して負けないチームはなく、まったく怪我をしたことのないプレヤーはいないでしょう。ラグビーの敗北は人の死とは違い、個人やチームの修正点がはっきりしたり、負けた悔しさがバネとなり、次の勝利に向けた大きなステップとなります。一方、「怪我」はどうでしょう。
IRB の試合規則には、「ラグビーフットボール競技は、身体的接触を伴うスポーツである。身体的接触を伴うスポーツには本来危険が伴う。」と書いてあるだけで「怪我をする。」とは書いてありませんが、ラグビーは怪我を伴うスポーツです。怪我の伴うスポーツだからこそ、それに備えることが必要です。怪我をしない体づくりや指導をすることが最優先ですが、プレヤーやコーチ,監督だけではなく、家族や恋人、そしてドクターなどラグビーに携わる全ての人々が、怪我をした時のことを考え備えてこそラグビーが成り立ちます。
ラガーマンには避けて通れないものがある。それは敗北と怪我。しかし、それらを乗り越えることにより、もっと大きなものを得る。ラグビーの「怪我」に対する考えや備えは、富の分かち合いとも言える「税金」とラグビーの「精神」を分かち合う点で近いのかもしれませんね。
再び、IRB 憲章より「ゲームの精神は、規律、自制、相互の信頼を通してこそ繁栄するのであり、ラグビーのような身体的に激しいゲームの中においては、これらの資質がゲームの将来における成功と生き残りにきわめて不可欠な友情とフェアプレーの感覚を築くのである。」

写真は、ロンドンラグビーミュージアムに展示されているラグビー場にある医務室です。医務室というよりは手術室な感じがします。
 
第11回楽苦美コラム!サムライヒロさん「図と地:プレヤーとグラウンド」
2012-09-01
「図と地:プレヤーとグラウンド」
サムライヒロ

ラグビーは敵のチームと戦うスポーツですが、同じ英国で生まれたゴルフは、地球を相手にした自分との戦いのスポーツだと聞いた記憶があります。最近では、ゴルフもラグビーもテレビで国内と世界の大会を同時に見ることができます。ことラグビーに関しては、国内と海外を比べると、プレヤーの風貌やプレーのダイナミックさよりも、まずピッチの色の違いが目に付きます。規模の違う海外と国内を比べるのは土台無理があるのですが、それにしても日本のアースカラーと海外のグリーンの違いは目に飛び込んできます。最近のニュースで、秩父宮ラグビー場の芝生がかなり傷んでいてプレーに影響を及ぼすほどだとか、かつてジャパンが海外遠征をした際には、あまりにもやわらかい芝で思うように試合ができなかったとか、ラグビーは敵と戦うだけのスポーツではなさそうです。
「敵を知り、己を知り、天と地の利を知れば百戦危うからず。」これは中国の故事ですが、己を鍛える練習,相手を知る試合と同様に地の利を知るのも大切なトレーニングです。全国大会へ毎年出場するチーム、必ずベスト8まで上がるチームは、その実力(己)もしかり、組み合わせ(敵)もですが、戦地の様子(天と地の利)を心得ているのもあるのかもしれませんね。
天と地の利は、ピッチが土か芝かだけではなく天気、気温、風向き、太陽の位置などたくさんの要因があり時間で変化していくものです。考えたらきりがありませんが、自分の理想とするゲームを描くためには紙に相当する地が必要です。ゲームプレーだけではなく天と地にまで気を回せるプレヤーはオールシーズン、どのピッチでも通用します。いつの日か自分や知り合いがまぶしいくらいのグリーンの地で、思いっきりのプレーを描いている姿を想像してみて下さい。


写真は、ケンブリッジ大学のラグビー場でのナイターゲームです。シーズンが続く2月の寒く日照量も少ない状況でも常にグリーンの芝が保たれています。
 
第10回楽苦美コラム!サムライヒロさん「ホームとアウェイ」
2012-03-01
「ホームとアウェイ」
サムライヒロ
 
 ラグビーは学校や地域に分かれての対抗戦でスタートしたと言われています。ゲームには、自分のグラウンドに敵チームを招いてのホームゲームと、敵地に行って戦うアウェイゲームに分けられます。ホームチームにとっては、いつも練習しているグラウンドですので試合展開も優位になると想像されます。グラウンドだけではなく観客席でもホームチームを応援する観客の方が圧倒的に多く、ホームチームには強い応援があります。
観客は、ホームチームのトライやいい(スポーツマンシップに溢れる)プレーには歓声を上げミスには溜息がこぼれます。アウェイチームのミスに対しては、それによるホームチームのチャンスに対して喜びの声を上げているようです。賞賛や喜びの声だけではなく、ゲームの流れをさえぎる反則やアンフェアなプレーに関してはブーイングをまき散らしています。
日本の場合には、このホームとアウェイというよりも一般のラグビー場に両チームが集まることが多いので単純に考えると観客数は半々です。自己主張をしたがらないのか、常に周りとの協調を求められる日本の風習も手伝ってか声援も控えめで大声を出す人は少数派な感じをうけます。
大声を出さなくても、得点につながるいいプレーには「ホーム(味方チーム)・アウェイ(敵チーム)関係なく」賞賛し、「ホームであろうが悪いプレーには」ブーイングする気持ちでラグビーを見てみましょう。
ホームチームのいいプレーがアウェイチームの得点につながったとしても、そのフェアプレーを賞賛できたら、チームによらず危険なプレーやアンフェアなプレーにブーイングができたら、かなりのラグビー観戦通です。

写真は、ロンドンのテュッケナムで毎年開催されているシックスネーションズラグビーのイングランド対ウェールズの会場です。会場はホームチームのイングランドの応援で溢れていますが、イングランドの「悪いプレー」にはブーイングが、ウェールズの得点には大きな拍手が起こっています。
 
第9回楽苦美コラム!サムライヒロさん「ワールドカップの経済学」
2011-09-01
「ワールドカップの経済学」
サムライヒロ
 
 ワールドカップは、参加チームの力だけではなく開催する国や地域の力を世界に知らしめる絶好の機会です。開催するにあたっては、国や地域の連帯感や競技の普及などさまざまなプラスの側面があります。しかし、ラグビーの発展のためには、経済的な側面も重要な時代になっています。
2億ポンド(約250億円)から8億1000万ポンド(約1000億円)。これは、2011年のラグビーワールドカップでニュージーランドに入る「予測」収益額です。この予測は、英国のデロイト社が2008年に前回のラグビーワールドカップやオリンピック、FIFAワールドカップなどから計算したものです。この予測によると、訪れた人の宿泊費やお土産などを含む経済効果は約750億円~2633億円にも及ぶとも言われています。
しかし、実現のためには1試合あたり平均して30,600人が観戦(KKウイングがほぼ満席)、合計で150万人(熊本県の人口が約182万人なので県民の約8割)の入場者が必要です。さらに、スタジアムの建設などのために1億8900万ポンド(約230億円)の追加投資が必要ともされています。実際問題として、この条件をクリアーするのは大変なことで、かなりの赤字ではないかとも言われています。
2007年のフランス大会では238の国々で4億人がテレビで観戦し、1試合あたり47,000人、合計で230万人が会場で観戦、35万人が海外からフランスに訪れたとか。これにより3億6300ポンド(約455億円)の経済効果がフランスに生じました。多くの人の目にとまるのは大きな経済な利益を生むのです。ちなみに、試合後フランスのラグビー人口が28%増加したという報告もあります。
社会的にしろ経済的にしろ、注目されて人が集まるところには、大きな利益が生じます。試合の勝ち負けを観るだけではなく、ラグビーワールドカップというビッグイベントのさまざまな効果に注目するのも楽しいかもしれません。8年後は、我々が注目される番なのですから。

写真は2007年フランス開催のラグビーワールドカップ直前のパリノド駅のディスプレイです。
 
第8回楽苦美コラム!サムライヒロさん「ラグビー進化論?」
2011-07-01
「ラグビー進化論?」
サムライヒロ
 
 イギリスの科学者ダーウィンが「種の起源」を世に出して150年以上になります。彼は、その著書の中で「生物は常に環境に適応するように変化し、種が分岐して多様な種が生じる。」と述べています。
フットボールから生じたラグビーにも多様な「種」が生じました。
少人数でも試合ができる7人制ラグビー、密集プレーをなくしてスピーディさを追求したリーグラグビー、タックルのないタッチラグビーやタグラグビー、1回くらいは前に投げてもいいんではと考えた?アメリカンフットボール、それ以外にもオージーボール、ゲーリックボールなどがあります。
15人制のラグビーもイギリスのパブリックスクールのクラスマッチや学校同士の対抗戦から国や地域対抗のワールドカップへと環境が変化しました。
それに伴い、自分がプレーする娯楽から見て楽しいエンターティメントとしてのスポーツへと変化しています。
環境に適用し変化する種の陰には、適応できず絶滅する種が存在するのも事実です。遠い将来、ラグビーという種が消えてなくならないためには、環境に対して常に適応し変化し、新しい「種」を生み続ける必要があるのかもしれません。
逆に考えると、これだけ変化したスポーツを生み出すラグビーは、変化し続け生き残る種なのでしょうね。
写真は、オーストラリアで行われているオージーボールの試合前の風景です。20年以上前に撮影したので画質が荒くなっています。
 
第7回楽苦美コラム!サムライヒロさん「聴くラグビー」
2011-05-01
「聴くラグビー」
サムライヒロ
 
 ラグビーに関わらず、さまざまなスポーツで「前を見る」とか「相手を見る」や「ボールをしっかり見る」などという「見る」指導が行われています。
確かに「見る」のは大切で、目から入る情報はプレーのよしあしを決める大きな要因です。
ところが、ことラグビーにおいては「見る」だけではいいプレーは生まれません。なぜならばパスのできる味方のプレヤーは見えない後ろにしかいないからです。
後ろにいる味方がボールを持った前のプレヤーに、自分の位置を教えて「パス」など指示を出すのは声、つまり音です。その音をとらえるのは目ではなくて耳です。
ヒトの目は頭の前についていて、前方しか見えません。さらに、目はまばたきしますし、全速力で走っている選手の視野はかなり狭くなっています。ボールを持って走るプレヤーが味方プレヤーを捜してきょろきょろしてたら、あっという間に敵にタックルされ倒されてしまうでしょう。
しかし、耳は頭の横についていて、全方向からの音をいつでもとらえる事ができます。さらに、耳は声の方向を正確に判断し、距離もある程度教えてくれます。耳は休むことなく味方からの声を瞬時にとらえて、次のプレーを決定する大切な器官なのです。
味方プレヤーからの声だけではなくレフリーのホイッスルや声も大切な情報です。他のスポーツとは違い、ラグビーのレフリーはプレヤーが反則をしないように「下がって」とか「待って」とかの予防のための指示の声を出します。この声が聞き取れるかどうかも選手のプレーを向上させ、ラグビーを楽しくする要因です。
「見る」トレーニングも大切ですが「聴く」トレーニングも必要かもしれませんね。
 
第6回楽苦美コラム!サムライヒロさん「声を出していこう!」
2011-04-01
「声を出していこう!」
サムライヒロ
 
 練習中に「もっと声出そう!」とか、試合中に「声出していこう!」とかの指示が聞こえてきます。
声を出すのは何のためでしょうか? 気合いを入れるため? もっと言うならば、どんな声を出せばいいの? と、、、せっかく声を出すならば、いいプレーにつながる声を出したいですね。
確かに、自分に気合いを入れるために声を出す場合もあるでしょうが、多くの場合、声は聞く人のために出されます。相手が聞こえて理解できる声で話すのはコミュニケーションの基本であり、相手を何と呼ぶかも大切です。「(なんとなく)聞こえる声」と「(注意をして)聴く声」とでは大きく違います。
ラグビーの試合中においても、味方プレヤーを呼ぶ声はプレーを継続させるための大きなポイントだと思われます。しかし、自分が普段呼び慣れていない名前で呼ばれても、なかなか気がつかないのも事実です。
欧米では、お互いをファーストネーム(名前)で呼び合います。プレー中もファーストネームが飛び交います。日本ではファーストネーム(名前)よりもファミリーネーム(名字)で呼ばれることも多く、普段呼び慣れない名前(名字)で呼ばれても反応ができないか、できたとしても素早い反応はできないでしょう。
ラグビーのように、非常に素早い反応が要求されるスポーツでは、お互いがどう呼び合うかが大切になってきます。試合や練習がスタートする前には、自分ができるだけ速く(Fast:ファースト)反応できる名前(Name:ネーム)を取り決めておく必要がありそうです。
これからプレーを始める人や新しいチームに参加する方は、ファーストネームをつけてみませんか? ラグビーも国際的な広がりを見せる今日、誰でもが呼びやすく自分も反応しやすいファーストネーム。もちろん実名でなくでもOK。
(ちなみに、私の「ヒロ」は、欧米人が読みにくい私の実名のかわりに付けたファーストネームです。)
自分でつけたファーストネームを、仲間も監督やコーチも、サポータや保護者、さらに相手プレヤーまでが呼びあえるラグビーって楽しそうです。
 
第5回楽苦美コラム!サムライヒロさん「ラグビージャージのカラー」
2011-03-01
「ラグビージャージのカラー」
サムライヒロ
 
 ラグビージャージというと「横しま」を連想するのは、私が古い世代だからでしょうか?
ラグビージャージのカラーリングはチームを特徴づけます。オールブラックス(ニュージーランド)の黒は有名で、オーストラリアは黄、南アフリカは深緑、イングランドは白、アイルランドは緑、フランスは青と強豪チームは単色です。ちなみに、横しまジャージは、チームが増えて単色では区別ができなくなって誕生したとか、、、
綿素材だった頃から比べると今のジャージは、ポリエステルなどの合成繊維でつくられていて、プリントができるのでカラーリングは自由自在にできます。それに伴い、伝統的な単色や横しまジャージは、あまり見かけない気がします。
ついでに、「カラー」とは、Color(色)ともう一つCollar(襟)の呼び方もあります。最近のジャージの襟は小さいどころかほとんどありません。
ジャージ素材の発達はカラー(Color/Collar)を変えただけではなく、プレイにも大きく影響を与えています。
今後どんなデザインのジャージがでてくるのか、それによってプレイがどう変化するのかも楽しみの一つですが「横しまな考えをやめて襟を正す」気持ちは忘れたくないものです。
 
第4回楽苦美コラム!サムライヒロさん「ヘッドキャップと安全」
2011-02-01
「ヘッドキャップと安全」
サムライヒロ
 
 高校、大学、トップリーグや国際試合など、ウインタースポーツのラグビーがテレビで多く 放映される季節になってきました。
試合を見ていると高校生だけが全員ヘッドキャップをかぶっています。大学生では一部のプレヤーのみ、トップリーグや国際試合ではほとんどがかぶっていません。安全面を考えると着用した方がいいような気がします。
本来このアイテムは、スクラムキャップやイヤープロテクターと呼ばれ、スクラムを組む時に 第2列ロックの耳が、フロントローのデカイお尻の間で擦れるのを防止するためのものでした。
当初のヘッドキャップは頭部の保護が目的ではなかったのです。ラグビーの国際化やプレイの変化にともないヘッドキャップに求められるものが変化してきました。日本では高校生以下に着用を義務づけていますが、海外ではヘッドキャップよりも マウスガードを義務づけているところもあります。
ヘッドキャップやサポーター類は、安全を保障するものではありません。着用したから安全ではなく「やっぱり、自分自身と他のプレヤーの身を守るためのスキルだよな。」と肉弾戦が 繰り広げられるテレビの前でつぶやいています。ラグビーで怪我したら楽しくないですからね。
 
第3回楽苦美コラム!サムライヒロさん「楕円球のなぞ」
2010-12-01
「楕円球のなぞ」
サムライヒロ
 
 最初から答えを言ってしまえば、「正確には分かりません^^;」分からない事だからこそ想いを巡らせる事ができます。
テレビでか高校時代の監督だったかに「人生は、どっちへ転がるか分からないラグビーボールのようなものだ。」と言われた記憶があります。うーん。ところが、あの楕円球はそんなに尖っていませんし、柔らかい芝のグラウンドではそこまでイレギュラーなバウンドはしません。ましてやプレー経験が豊富な選手にはボールの転がり方はほとんど予想できるとか、、、、ボールを楕円球にしたのは、ラグビーを楽しくするためではなさそうです。そのなぞを解くためには、ラグビーがサッカーから分かれた18世紀までさかのぼらないとわかりませんが、現在残されている当時の文献*にその理由がありそうです。
当時から、フットボールでボールが高く遠くへ飛ぶのは競技の醍醐味だったようです。そのボールには、弾力性を持った材質が求められました。そんな中、イギリスのラグビー校のコーチが、弾力性のあるボールを学校の近所の靴屋ウイリアム・ギルバートに依頼しました。ウイリアムは試行錯誤の結果、豚の膀胱を使ったボールを作り上げました。豚の膀胱で作ったボールは、丸いどころか写真の左下のような楕円形と言えなくはないものでした。さらに踏んだり蹴ったりされるボールは革で包まれました。ギルバートはもともと靴屋ですから革の加工は得意だったのでしょう。
蹴って遠くへ飛ぶ弾力性をもった豚の膀胱、丸くできないからその形のままで革を張った楕円球になったボールの形は、材質がゴムやラバーに変化した今でも変わりません。楕円形の方が脇で抱えやすいだけではなく、針の穴をも通すようなスクリューパスやスローイン、芸術的とも言えるスクリューキックなどなど、、、ラグビー特有なプレーは、この楕円球から生まれています。やっぱり楕円球だから楽しいようですね。

*参考文献:フットボールの社会史 (岩波新書) JR. F.P.マグーン 忍足欣四郎翻訳 (1985)
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